2025/06/17

まずい


初心を忘れていないと言うべきなのか、やることが学生の頃からさっぱり変わっていないだけなのか。夜のファミレスに籠って本を読むなり、こうやって文を書くなりという習性が、高校生や大学生の時分からずっと変わっていない。

なぜファミレスでなければならないのか。ファミレスでは、自宅や図書館で発揮するのとは別の種類の集中力が発揮できるからだ。ファミレスにはノイズがある。BGMが、呼び出し音が、客の会話が飛び交っている。

サイゼリヤは、ファミレスの中でもトップクラスにうるさい。サイゼは、あまりにもうるさすぎるから、家族連れ客のドタバタ騒ぎも、オジサンオバサン達の談笑も、学生さんの大はしゃぎも、すべてが渾然一体となってノイズになる。だから、隣の客の声も、その渾然一体の中に消失する。

デニーズではこうはいかない。デニーズくらいになると、隣の客の話が面白かったら、そっちに関心がいってしまう。ガストもジョナサンもちょっと違うし、たまに身動きが取れなくなっている猫ロボットがいようものなら、そっちに気を遣ってしまう。まったく、手のかかる猫め。

思うに、このサイゼの高出力ノイズは、他のチェーン店ではなかなか出せない。私の体調やテンションと、その時の客のバイブスがバッチリはまると、この高出力ノイズは、私をトランス状態ともいえるような集中力の発揮に、導いてくれる。

私は良く通うサイゼに、レベルの高い合格点を超えるバイブスをオールウェイズ出してくれる期待をしている。でも、この体験は私と他の客のコンディションの掛け合わせなのだから、一回性がある。私のほうが高出力ノイズに耐えられないときもあるし、客入りが悪ければ出力が下がって隣の客の話も聞こえてしまう。つまり、サイゼとは、生きもの。ライブ会場なのだ。


今日も今日とて、おかわり自由のコーヒーをがぶ飲みしながら、右手にフォークを、左手に文庫本を装備する。目線は本に向けながら、上の空で小エビのカクテルサラダの、カクテルの部分とレタスを数枚、フォークで突き刺す。口に運ぶ。カクテルって結局なんなんでしょう。でもたぶん、あの部分。あの部分が、カクテルの部分であり、ディアボラの部分なのでしょう。

カクテルってこんな味でしたっけ。さすがに学生時分からは舌が肥えたのか、それともサイゼリヤがコストカットしたのか。カクテルってこんなふにゃふにゃしてましたっけ。

こんな感じで本を読みながらダラダラとサラダを食べていると、レタスも細切れの人参も、甘いドレッシングを吸ってふやけてくる。そもそもレタス、最初からシャキッとしていなかったぞ。最終的には、濡れた紙を食べているみたいになってしまった。

まずい。

こんなことを、もう20年も続けているんだな。

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